『インセプション』を観て 他

映画『インセプション』(クリストファー・ノーラン監督)を観ました。

面白かったです。難しいと聞いていたのですが、ついていけました。以下簡単な感想です。

・脇役のキャラが立っていてかわいい。

・コブはモルにインセプションを行ったことで悲劇を招いたのに、同じことを標的にしてまで「家に帰る」ことが許されるのか。

・音響が独特な感じがした。

・最後、トーテムが回り続ける(夢の世界ということになる)のかそれとも倒れる(現実ということになる)のか、わからないところで映画が終わるのが不気味だと感じた。

渡辺謙の英語での演技を初めて見ることができてよかった。

今敏監督のアニメ作品を思い出した。

・夢と現実、というテーマが東洋的という意見を目にしたが、ピンとこないので保留。

 

また、小説『存在の耐えられない軽さ』(ミラン・クンデラ)を読み終えました。

難しいのですが、読むのがつらいということはありませんでした。

・サビナとフランツのエピソードは、ソ連の侵攻を受けた当事者と当事者以外の西側諸国とのギャップや、サビナの「キッチュ」への嫌悪といったポイントで、比較的とっかかりやすかったように思う。第3部「理解されなかったことばの小辞典」という部分が助けになった。

・テレザとトマーシュのエピソードは、何百人もの女と寝ているトマーシュに絶望しながらも一緒にいようとするテレザと、偶然性と同情からテレザに結び付けられている遊び人のトマーシュ、という構図の愛が現実に成り立ちうるのか疑問で、理解の範疇を超えているように感じた。

・フランツとシモンが、目の前に存在しない人物の想像上の視線によって生きる力を得る類の人間であることが示されており、確かにそういう人もいると思った。

共産主義の、盗聴と密告、プライバシーの欠如という要素がおそろしいと思った。

・主要な登場人物は、「プラハの春」後の時代によって人生に影響を受けてはいるが、翻弄されているわけではなく、あくまで個人的な問題にとらわれているところにリアリティを感じた。

・いずれかの登場人物に共感するための物語ではなく、「人間」という存在とその心理や、人生を分析する目線で書かれていると感じた。